Disperazione(やけくそ)


     6


6.イヴァン羊になる




ルキーノの凄さは、チンコの太さを変えられることでもデカさでもなく、その耐久時間だった。
遅漏のオッサンかよ、もう勘弁して・・・・・・・・と思う程頑張って俺を啼かせてくれた。
ルキーノが射精するまでに、俺は何回イったのか分からないが、
俺のチンコを絞っても、もう何も出ないことだけは確かだ。
ふうぅ。スッキリしたぜ。またヤる時は呼んでくれな。
ヤツはそういい残して涼しい顔で部屋を出て行った。

「・・・・・・俺も、戻り、ます。ジャンさん・・・・・・、またいつでも、してあげます・・・・、から・・・・・・」
ジュリオはそう良いながら、後ろ手に縛られた俺の腕のタオルを解き、痕になってしまった場所にキスを落とした。
そして、
「イヴァン、ジャン、さんの身体・・・・・・これ以上、無理、させないように・・・・・」
ジュリオはイヴァンにそう告げると、静かに部屋を後にした。

俺の身体はもうグッタリ。何をされても指一本も動きやしねえ。

・・・・・・つうか、イヴァンがまだ残ってるんだよな・・・・・・
朦朧とした頭でそう考える。

俺の身体、壊れないカシラ?
てゆーか、もう既に壊れてるカシラ???

しかし、おかしな事にヤツが襲ってくる気配が、ない。
もしかして、ジュリオの忠告を賢くも守るつもりなのだろうか?
それとも、さっきルキーノに
『邪魔するなよ。イきたきゃそっちの隅で手コキでもしてろ』って言われた時、イヴァンってば本当に隅に行って扱いてたよなー。もうアイツも打ち止めか?
そう考えていると、イヴァンの気配が近付いてきた。
俺は「ああ、やっぱりヤられちゃうのね」と、閉じていた目を薄っすらと開けた。

「っぉ・・・」

ちょっとビックリしたのは、視界一杯に広がったイヴァンの顔が俺の顔を心配そうに覗いていたから。

「おい、大丈夫・・・かよ?」

お?心配そう・・・じゃなくて、どうやら本当に心配してくれているみたいですよ?

「大丈夫に・・・・・見えっか・・・・・・・?」

しゃがれた声に自分でも驚いたが、イヴァンも相当驚いたみたいだ。

「おまえ、声・・・・・」

イヴァンは横たわる俺の横にどっかりと座り、頭をぼりぼり掻きむしりながら、「ああ、クソ!」一声上げて、俺の身体を抱き上げた。

「悪ィ・・・、俺が調子に乗っちまったばかりに、ジュリオやルキーノにまでヤられるはめになって・・・・・・・・」

ゾワゾワゾワ・・・・・・
うっわー。
今、鳥肌たった。
何?どうしたの?
イヴァンが謝ってるよ!?

「身体、ベタベタして気持ち悪いだろ?洗い流してやるからよ」

・・・・・ええと・・・・、お前、イヴァンの皮を被った誰?
あ、それともルキーノとジュリオの精液溜め込んだ俺の尻に挿するのが嫌で、洗い流してからヤろうって魂胆か?
ま、どっちにしろ俺は動けねえんだけど。
イヴァンが俺を抱きかかえ、バスルームへと移動する。

「立てるか?」
「無理っぽ・・・・・・」
「そうか、・・・・・冷てぇと思うけど、少しだけ我慢しろよ」

ゆっくりとバスルームに座らされ、壁に背中を預けると、直ぐに熱い湯が頭から降ってきた。
頭と身体を、思いの外優しい手つきで洗われ、
新米パパが初めて赤ん坊を風呂に入れる時って、きっとこんな感じなんだろうなぁ・・・・なんて思ったりして。
ま、新米パパになったことないんだけど。

「足、拡げられるか?・・・・中、掻き出さねえと・・・・」
「んあ?・・・・ああ・・・・・・」

言われた通り足を開くと、ソープを塗りたくったイヴァンの指がゆっくりと俺の尻の穴に侵入して来た。

「痛かったら言えよ?」

だーかーらー。
お前イヴァンの皮を被った誰?

イヴァンの指が尻の穴を広げると、そこからトロリと精液が垂れた。

「んっ・・・」
「だ、大丈夫か?」
「・・・ああ、いや、別に痛かったわけじゃねえ・・・・・」

垂れる感覚が妙だっただけだと付け加えると、

「そ、そうか・・・」

ホッとした顔したりして。
なんか調子狂う。
指が二本に増やされて、更に中の精液を掻き出される。

「‥‥ぁ‥っ」
「ど、ど、どうした?」
「‥‥ぅぅん‥、‥っ‥!」

やべ・・・・、掻き出そうとしているただそれだけなのに、何故だか中を擦られているような感じがして妙な声が出ちまう。

「・・・・・・・ん・・・・っぁ・・・・・」
「い、痛ェのか?」
「ち、違う・・・・・・・」

ちげーよ!お前の指にちょっと反応しちまったんだよ!
そんくらい気付けボケ。てか、もうその指抜いて欲しいかも・・・・。
・・・なんて思っていると、本当に俺の中からイヴァンの指がスッと抜け、少しだけ寂しくなる。
って!寂しいってなんだよ、俺!

「おい、・・・お湯で洗うぞ」
「・・・・・・んあーぃ・・・・・」

気の抜けた返事を返すと、イヴァンはシャワーのコックを掴み、穴を広げて生温い湯を中へ入れた。 敏感になっているそこは湯にさえ感じる。

「んぁ・・・・・っ・・・・・」
「エ、エロい声出すな!」
「・・・んなこと言ったって・・・・・ぁっ・・・」
「も、もういい!風呂入るぞ、風呂!」

イヴァンが俺の腰を抱え上げ、湯が溜まったバスタブの中に静かに入れてくれる。
うー、気持ちイイ、けど。
俺の腰に当たっているゴリゴリした固いものは一体ナンデスカ?
正解は、俺の後ろで抱き込むようにして一緒に入っているイヴァンのチンコ、です。

「お前さ、もしかして、ものすごーく我慢してるわけ?」
「してねえよ!」
「ふーん。んじゃ、その勃ってるチンコ、なに?」
「勃ってねえ」
「は?」
「うっせえな!勃ってねえっつってんだろが!これは俺様の通常サイズだ」
「・・・・・はぁ、そうなんですか。そりゃまたシツレエしました」

や、どう見てもおっ勃ってるようにしか見えないんですけどね。

「な、ホントにヤんなくていいの?」
「しつけーぞ。勃ってねえって言ってんだろが。つーか、いくらなんでも、こんなズタボロのヤツをヤれるわけねえ・・・・・・・・・・、そ、その代わり、元気になったら今度こそヤるから覚悟しとけよ」

本当は今すぐにでもヤりてえだろうに、それでもキチンと「待て」をしているのは俺の為・・・・・だと思うと少し、いや、かなり嬉しいかも。
って、嬉しいって何だよ俺!
またもや自分にツッコミを入れつつ、

「あっそ」
と一言だけ返してやった。

「今度はちゃんと後ろを解して血ィ出ねえようにして、ジュリオに嗅ぎ付けられないように注意して、ドアにもキッチリ鍵をかけて、誰も入って来られねえようにすっからな」

息巻いて宣言するような事じゃねえけど、
がくしゅー能力は一応あるみたいだな。

「ところで、縛んのはどうするよ?」
「はぁ?」

「いや、お前があまりにも『縛りが好きだ』って連呼するもんだから、実は本当に好きなのかなって・・・・、途中でわけ分からんなくなっちまってよ」
前言撤回。
やっぱバカだ、コイツ。

「連呼してねえし好きでもねえよ・・・・」
「・・・分かった。じゃ、縛るのもなしってことで」
「ああ、頼むわ・・・・・・・・・・・・・、てか、お前、結構ヤサシイとこ、あんのな」
「結構ってなんだよ」
「まぁいいじゃん、褒めてんだから」
「・・・・・・・・・・・・」

暫し会話が途切れると、
途端に襲ってくる眠気。
だってしょうがないじゃん。俺疲れてるし、湯加減は丁度いいし。
目を瞑ると何だかゆらゆらして気持ちよくて、
てゆーか、何か俺、本気で眠い。


・・・・・・・・・・・・・・・・
グー・・・・・・

え?お、おい!バカ、こんな所で寝るな


・・・・・・うっせーな、耳元で喚くなよ、眠ぃんだよ



お、おい!うわー、マジかよ・・・・・
信じらんねー・・・・・・、寝やがった・・・・・


ふ、ふん・・・・、口は悪ィけど寝顔は結構カワイイじゃねえか・・・・


バスルームにイヴァンの声が存外に優しく響き、それを最後に俺の意識は完全にフェード・アウト。




だからその後、
お、重い・・・・・・・
くそ!
おいこら、起きねえと犯すぞ。
ホントに犯るぞ!ゴルァ!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・参ったな、運ぶのが大変だ・・・・

こんな風にイヴァンが四苦八苦していたのを
俺が知る由もない。

                                                                        fin


         

甘々で終わりかよ。
お付き合い下さいましてありがとうございました。
これで終わりですが、ベルナルドさんの登場を心待ちにしていた方の為に(い、いるのかな?)おまけ話を考えています。いつになるかわからないけど。