忘れもしない。
この公園で兄を襲っていた、あの男だったのだ。

「覗きはいけないなぁ・・・」

男はあの時と同様、口元に嫌な笑みを浮かべながら近付いて来た。

――――  に、逃げなきゃ・・・・・

あの日、目の前の大柄な男は、線は細いけれど決して小さくない兄をいとも簡単に押さえつけ、
その身体を弄んでいた。その動きはかなり手馴れているように見えた。
多分同じような事を彼方此方の場所で何回も繰り返しているのだろう。
同性に襲われた等と被害届を出す者はいない。
皆犬に咬まれたのだと思い込もうとするに違いない。
そうと分かっていて確信的な凶行を続けているのだ。この場所に留まっていたら何をされるか分からない。
しかし驚きのあまりか、足が震えて動けなかった。まるで蛇に睨まれた蛙のように。

「・・・・んん??おまえどっかで見たことあるな・・・・・」
近付いて来た男が怪訝そうな声を出す。
「っ!」

まさか覚えているのか?兄を助ける事もできず、それどころか兄の痴態に股間を膨らませた自分の事を。
慌てて顔を背けた。その行為が男の猜疑心を誘うものだとは気付かずに。

「んん?やっぱお知り合いかなぁ?もっと顔よく見せてみろ」

そう言いながら男は更に近付いて来た。
背中に嫌な汗が流れる。
この男がいつから自分を観察していたかは知らない。
でももし『兄貴』と口走りながら達した所を見られていたら・・・・・そう思い恐怖で肌が粟立った。
こんな所で足を竦ませている場合じゃない。とにかく逃げなくては。

「っく!」

思い切り地面を蹴りつけ横に逃げた。



・・・・・・・・・・・・・・つもりだったのに。
片方の腕を男に掴まれていた。

「は、離せっ!」
「うん?やっぱお前どっかで・・・・・」

男の目が過去を手繰るように細められ、そして、

「ああ、あん時の・・・・・」
ニヤリと口の端を上げて嗤った。

「兄貴が襲われてるのを見て興奮していた坊やだよな?んん?なんだ?覗きが趣味になっちまったのか?」
「ち、ちが・・・・っ」
「違わねぇよな?俺はさっきから見てたんだぜ・・・?」
「・・・・・っ」
「それにしても、あん時は残念だったなぁ。お前の兄貴、ありゃ上玉だ。パトカーさえ来なけりゃ犯してやれたんだが・・・・・・」
「ふ、ふざけんな!」
「澄ました野郎の顔が歪むのって最高だよなぁ?」
「へ、変態!」

思わずそう叫びながら男を睨みつけた。しかし男は動じずニヤニヤと嗤いながら自分を見下ろすだけだ。

「ふん、変態か・・・。でもよ、兄貴が襲われる所を見て勃起させるのも立派な変態だと思うけどな」
「・・・・」

何も言い返せない。男の言う通りだ。実の兄に善からぬ妄想を抱くなんて普通じゃない。
でも、実際に事に及ぶのと想像上では大きな違いがある。

「なあ、お前も兄貴を犯したいんだろ?だったら俺達は仲間じゃねえか」
「い、一緒にすんな!俺はそんな事・・・・・」
「そんな事思ってない・・・ってか?ふん、だったら何でさっき、『兄貴』って呼びながらイったんだ?」

ニヤニヤと嗤いながら男が放った言葉に驚愕した。

「なっ・・・・・・!」

聞かれていた。『兄貴』と呼びながら達した場面を。
見られ聞かれていたという羞恥と図星を指された怒りが混ざり合う。

「・・・ちっくしょ・・・、離せっ!」

嫌悪感を露にし、掴まれた腕を振り解こうと暴れた。


「・・・この・・・暴れんな・・・・、っう・・・」

闇雲に動かした手が男の頬に当たり掴まれていた腕が離れる。よし!今のうち・・・と思ったのは束の間だった。リーチの長さの違いを見せ付けるように伸ばされた男の足に引っ掛かり、自分は地面に転がっていた。
それを男が見逃す筈も無い。体勢を立て直す暇も与えられずそのまま圧し掛かられた。
必死に手足を突っ張ってもがくが、男の力ははるかに強かった。


「離せっ!」
「やってくれたな、小僧。もう逃がさねえからな」

ニヤついた先程までの顔は一変し、今男の目は獰猛な光を放っている。

「っく・・・!離せ・・・っ!」
「暴れんなよ。もう無駄だって」

男はそう言いながらポケットから出した紐で手首を拘束し、近くにあった木の幹にそれを繋いでしまった。

「へえ・・・、よく見りゃ可愛い顔してんじゃねぇか・・・・・・。兄貴の代わりに可愛がってやるよ」
「や、やめろ・・・・、離せ・・・・っ!」

唯一動く足で男を蹴り上げようとしたが、虚しく宙を切るだけであっさり捕まってしまう。「おとなしくしてりゃ悪いようにはしねえって」
男はそう言いながら嬉しそうにズボンに手を掛けた。







何も身に着けていない下肢がぶるりと震える。それは寒さからでは無く,男の手で触られている嫌悪感から。

「ここを触られるのは初めてか?」

男は尻の穴に何か粘着力の高い液体を垂らし、それを塗り込めるように指を動かした。
少しでも男の手から逃れようと身体を捩ったが、腕を拘束されているので大きくは動けない。
寧ろ動かした腰が誘っているようだと男が喉の奥で嗤うのでそれすらも我慢せざるを得なかった。
男は指を埋め込む。

「ッ・・・・」

気持ち悪さに呻くがそんな事はお構いなしに、男の指はどんどん奥に進み、
根元まで埋め込むと小刻みに動かしたりグルリと回転させたりと、内部を探るように蠢いていた。
そして、緩み始めた胎内を男の指がある一点を撫で上げた。ピリリとした快感が全身を貫き、

「っひ・・・・!」

短い悲鳴が口を突いて出た。それを男が聞き逃すわけも無い。口元に笑みを浮かべながら男は、触られただけで達してしまいそうになる快感の壷を押し捲くる。

「・・・っあ・・・・・、そこ・・・・・や・・・・・・ぁ・・・・・・」
「見てみろよ、凄ぇことになってんぜ」

快感に白く霞む自分の性器は、弄られてもいないのにヒクヒクと痙攣しながら蜜を垂らしていた。
男は内部での指を意地悪く動かした。達しそうになるとそこから指を離し、浅い所をぬちゃぬちゃと弄くった。射精感が少し遠のくとまた快感の坩堝を責められる。

「・・・・・・、も・・・・・、や・・・め・・・・・」

限界まで追い詰められていた。


「止めていいのか?」
「っひ・・・、ぁ・・・・っ」

嘲笑混じりに弾かれた先端が切なく震える。

「イきたきゃよぉ、何て言えばいいかお前の頭でも判るだろ?ああ?」
「う、うるせ・・・・・・この下衆やろ・・・・・が・・・・・」
「へぇ、まだそんな口が叩けるんだ、驚いたな。このままお前を置き去りにしてもいいんだぜ?ま、俺がいなくなったらそこら辺で覗いてる奴らの餌食になるだけだがよ」

男が冷たく言い放つと、周囲の茂みがザワリと揺れた。・・・・・ような気がした。
いや・・・・・・、確かに人の気配がする。
自分ではなく、自分に圧し掛かる男でもなく、『はぁはぁ』という荒い息がどこかから聞こえる。木に括りつけられるように縛られて男の指に翻弄されている姿を、誰かが覗いているのだ。

「二人、いや三人は確実に覗いてるな。ん?どうだ?奴らに犯られてみるか?それとも俺一人の方がいいか?選べよ」

選べと言われても選択肢など無いに等しい。目の前の男にも嫌悪を覚えるが、サカリがついた雄の獣に集団で犯やられるのはもっと嫌だ。

「・・・・おまえが・・・・・やれ・・・・よ・・・・」
「じゃ、お望みどおりに俺ので天国にイかせてやる」

男はニヤリと口の端を上げた後、

「・・・何ておねだりすればイイのか、解るよな?」

指を奥まで突き入れた。
苦しさと快感に喘ぎながら、腰を突き出し必死に言葉を絞り出す。

「イ・・・・・・かせて・・・・くだ・・・・・・・・・・・さい・・・・・・っんん・・・・っ!」
「・・・よく言えたな・・・・・・」



「っぐ・・・・ぁああ・・・・・・・っ!」
「・・・ッ・・・・、いい締め付けだぜ・・・・・・」

呻くとまたザワリと周りの空気が動く。
でもそんなのはもう耳に入らない。

解放を求めて、
男の動きに合わせて自分も腰を揺すった。





いつもの事ながら中途半端に挿入したまま終わりですが、実はええと、


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