何も身に着けない下半身。その足を大きく割り、男は何の潤滑油もないまま欲望を突き入れようとした。
「っく・・・・っ!」
犯られる!
無理矢理捻じ込まれる痛みを覚悟して身を硬くした瞬間。
「止めろ!」
当に挿入直前、自分達の前に現れた人影が男を突き飛ばしそれを防いだ。
「ぐ・・・・!」
男が地面に転がる。
「明!大丈夫か!?」
「・・・ぇ、・・・あ、兄貴・・・!?」
飛び込んで来たのは兄だった。何故こんな時間にこんな場所に居るのか不思議だが、今自分の戒められている手首の紐を解こうと屈んでいるのは間違いなく兄だ。助けに来てくれた。自分の為に。
「・・・くそ・・・っ」
しかし自分が暴れた所為か、幹に括りつけられた結び目は思いの外固くなっているようで中々解けず、焦ったような苛立ったような兄の声が頭の上で聞こえた。
「・・・・・・・あ」
地面に倒れこんでいた男がゆらりと立ち上がるのが視界の端に映る。
「・・・ったく・・・いきなり誰だ・・・?」
苛立ちを隠さず男は、こちらに来た。いつの間にか銀色に鈍く光るナイフを手に持って。
「兄貴!」
思わず叫ぶと、それに気付いた兄が自分庇うように男の前に立つ。
「へぇ、アンタだったのか・・・」
険しい顔付きだった男の口元がニヤリと歪んだ。そして
「飛んで火にいる夏の虫・・・とはアンタのことだな」
嬉しそうに嗤いながら言った。
「あ、兄貴、逃げろ!」
「そんな事できる訳ないだろ!」
男を睨み付けながら兄が叫ぶ。すると男は鋭い切っ先を一歩も引かない兄に向けて言った。
「おい、アンタ。条件によっちゃそいつを解放してやってもいいぜ」
「・・・条件・・・?」
訝しげに兄が聞き返す。
「俺はこんなじゃじゃ馬よりアンタに乗りてぇんだけど、どうよ?」
「!!」
「アンタが俺の相手をしてくれるんなら弟には手を出さないでやる」
そんな馬鹿な。冗談じゃない。自分の所為で兄が・・・この男に犯されるなんて。そんなのは絶対に嫌だ。
「・・・・・本当か・・・?」
兄が男に聞き返す。
「っ、ば、馬鹿なこと言ってんなよ、兄貴!」
自分の為に己の身を犠牲にしようと言うのか。こんな強姦魔のいう事なんか信用できる筈も無いのに。
「煩ェな、お前は黙っとけ」
「ぐっ・・・!」
男の靴先が脇腹にめり込む。
「明に手を出すな!」
「はいはい。・・・じゃ、こいつに手を出さない代わりに、アンタが俺にしてくれる事は何だ?ああ?」
勝ち誇ったような男の声がし、兄の手がゆっくりと着ているシャツのボタンに掛かった。
「あ・・・、兄貴、よせって!俺はどうなってもいいから!」
「よくない。明が傷つく位なら俺が・・・・」
兄はそう言いながらシャツを脱ぎ捨てた。
「ウツクシイ兄弟愛だねぇ」
くつくつと男が喉の奥で嗤う。白い肌が露になる。しかし男がそれだけで満足するはずが無い。
「下もだ。早く全部脱げ」
容赦ない命令を下す。カチャカチャとベルトを外す音がやけに大きく響いた。
「や、やめろ、兄貴!・・・・ぐは・・・・・」
男の靴が鳩尾を圧迫し息が詰まる。
「明に手を出すなと言っただろう!」
「あ、悪ぃ。あまりにも煩ぇからつい・・・・・・、それより早く脱げよ」
自分を人質にされた兄は黙ってズボンを下ろした。見ていられない。自分の所為で兄が・・・・・。
泣きたい気持ちと申し訳なさで一杯になる。屈辱に耐える兄の姿を見ない事が自分にできる唯一の事だと思われ兄から目を逸らした。だが男はそれを善しとしなかった。
「ほら、お前も見たかったんだろ?兄貴の裸」
髪を掴まれ無理矢理兄の方に顔を向けられる。
「っく・・・」
逆らうように唇を噛み締めてギュッと目を瞑る。すると男は
「見ねえの?兄貴のストリップ・・・勿体ねえなぁ・・・。つーか俺に逆らうなんていい度胸してんな、お前」
頬に冷たい物が押し当てられる。男が手にしていたナイフだ。
「目を開けろ。じゃないとカワイイ顔に疵がつくぜ?」
そう言われても目を開けるつもりは無かった。こんな事になったのは自分の所為だ。頬にピリッと微かな痛みが走る。
「よ、よせ!明!明、目を開けるんだ」
切羽詰った兄の声。
「俺は構わないから!こっちを見て」
「ほら、兄貴もああ言ってるだろ?兄ちゃんの言う事は素直に聞かねえと・・・な?」
それでも頑なに目を閉じていると、男は諦めたように、
「ちっ・・・仕方ねえな・・・・おい、お前、全部脱いだらこっちに来い。おっと、妙な真似はするなよ」
男の声が兄に命令する。衣服を全部脱ぎ去ったのだろう兄が男の言葉通りこちらに近付く気配がする。
「コイツのしゃぶれ」
「・・・ぇ?」
「聞こえなかったのか?弟のものを咥えろって言ったんだよ」
な、なんだって?まさか。脅されてるとはいえそんな事!そう思う間に股間を温かいもので包まれる。
「な・・・・っ!」
思わず目を開ける。と、そこには全裸で自分の股の間に顔を寄せている兄の姿が見えた。
一連のやりとりですっかり萎えてしまっていた性器の根元を優しく掴みながら口に含んでいる。
「んん・・・っ!」
「あ、あに・・・・、き・・・・・やめろ・・・・・・って・・・・・・・」
「・・・・・・ぅ・・・・・・・ん・・・・・・」
ピチャピチャと音を立て兄が性器を舐め回す。快楽に負け口の中で大きく育った欲望は今にもはち切れそうになっていた。
これほど自分の身体を恨めしく思ったことはない。兄の口淫にあっさり勃起してしまうなんて。
時折兄は上目遣いに視線を寄越す。その情欲に濡れたような瞳が更に自分の熱を煽った。
願望は確かにあった。頭の中で、何回も嫌がる兄の口腔を犯した。でもそれはあくまで自分の妄想上だった。
夜の公園で。
男に見られながら。
しかも無理矢理に。
こんなのは望んでいなかった。
「どうだ?兄貴の口の中は・・・随分気持ち良さそうな声出してんな・・・」
「・・・っ、も・・・・・やめさせ・・・ろよ・・・・」
「遠慮すんなって。それよりそろそろイきたいんじゃねえか?兄貴に飲んでもらえよ」
「や・・・、そんな・・・・・」
「ああ、それとも綺麗な顔を汚す方がいいか?」
「どっちも・・・・や・・・・、頼む・・・・もう・・・・・イく・・・・・・・・兄貴、放して・・・・・・んん・・・・・っ!」
下腹がうねり熱くなる。もう直ぐ射精が訪れる。
「や、兄貴・・・・・、も・・・・・ダメ・・・・・ああっ・・・!」
兄にすまないと思いながらも快楽に抗えなかった欲望が解き放たれた。
「んん・・・っ」
激しい放埓に意識が半分飛びかけた自分に掛けた男の言葉にぎょっとして目を開ける。
「へへへ、やるじゃねえか、坊主。半分飲ませて半分は顔射とはな。両方とは恐れ入ったぜ」
慌てて顔を上げると、兄の頬には今出した自分の白いものが飛び散り、口の端からは飲み下せなかった液が垂れていた。
「明・・・・・・」
虚ろな目をしたあにが自分の名を呼ぶ。
「あ、兄貴・・・・ご、ごめん・・・・」
「さ、次は兄貴の番だ。俺が天国イかせてやるから楽しみにしてな」
男は兄に四つん這いになり腰を高く上げるよう命令した。そして、兄の顔に飛び散った精液を指で掬い取り後孔にそれを塗りこんだ。兄の白い双璧が妖しく揺れる。
「んん??何だ、お前弟のモンしゃぶって勃っちまったのか?案外エロい身体してんだな。もう先っぽヌルヌルだ、はは・・・っ」
男が兄に向かって嘲笑の言葉を投げ付けながら後ろの穴に精液を絡めた指を捻じ込んでいった。
「ん・・・ふぅ・・・・・」
ぬちゃぬちゃと水音を立てながら男の指が兄の後ろを弄ぶ。その指は二本、三本と増えて行き、そして遂に。
「どれ、そろそろ味わうか」
男は衣服の中から獰猛とも思える性器を取り出し、兄の後孔にピタリと狙いを定め、突き挿れた。
「う・・・ああ・・・・・、っく・・・・・・・」
兄の叫び声が鼓膜に響く。聞きたくない。自分の為に兄が苦しむ声を聞くのは辛過ぎる。耳を塞いでしまいたいけれど。両腕を戒められていてそれすら叶わない。
「ぐ・・・・ぁ・・・・・・・っ」
無理矢理奥に捻じ込まれ苦痛に歪んだ兄の顔が視界の隅に映る。
「あ・・・・にき・・・・・」
その途端、自分の中のどす黒い欲望がせり上がって来るのを感じた。
――― 嘘・・・・だろ・・・・・?
目の前で兄が犯されているというのに。
兄の口腔で達したばかりだというのに。
自分が大好きなあの苦しそうな表情で、
「っく・・・・・、あ、・・・・ふ・・・・・・っ」
啼いている兄。繰り返し思い描いた兄のあの顔が直ぐそこにあるだけで自分の下肢は熱く反応した。
「ん?どうした?兄貴が犯られんの見てまた興奮しちまったか?」
「っ・・・・・」
腰を振りながら男が揶揄する。その声に反論などできるはずも無い。震えながらもしっかり勃ち上がっているのだ。
「あ・・・・きら・・・・・」
顔を上げた兄と目が合う。
「・・・あ、・・・・・・兄貴・・・ゴメ・・・・ン・・・・」
自分も目の前の男と同じ。兄を汚している。謝って済む事ではないけれど。
「あぁ・・・・・っ・・・・そこ・・・・・・、ん・・・・・っああ・・・・・っ」
突如、痛みと屈辱に耐えていた兄の声が一転した。
「ここか、アンタのイイところは・・・・」
男はぐいぐいと執拗にそこばかりを責め立てた。
「や・・・・ぁ・・・・・んん・・・・・ぁあ・・・っ!」
兄の切ない喘ぎが止まらない。
「あ、兄貴・・・・・・、あに・・・・・き・・・・・」
兄の口から艶やかな声が漏れる度、鈴口からとろりと液が零れる。それを見た男が、
「辛そうだなぁ・・・、俺が満足したらお前にもこのケツに挿れさせてやるからそれまで我慢しろ。兄貴のケツは最高だぞ・・・」
口端を吊り上げ薄ら笑いを浮かべながら言った。
「あき・・・・ら・・・・・」
兄の虚ろな瞳が自分を捉える。途端、甘く切ない痺れが腰奥から湧き上がり、
『兄貴・・・』と口にしながら先走りの液を撒き散らし快楽を待ち望んだ。
これもいかにも中途半端ですが、どうしても男×光輝が書きたかったのです^^;
この後は、男×光輝×明の3Pになったと思われます。
どなたか続きを書いて下さい。是非。
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