彼の後ろで足音が聞こえ、振り返ると小さな花束を抱えた女が
ゆっくりとこちらに向かって歩いて来るのが見える

「こんにちは、イヴァン」
「・・・・・おう」

彼の横に立ち、微笑んだ彼女の名はロザーリア・カヴァッリ
彼女に会う度、月日の流れるの早さを強く感じる
あの頃の少女だった面影は消え去った、ここに居るのは成熟した大人の女だ

「ジャン、こんにちは」
ロザーリアはジャンカルロに花束を渡した

「今日はね、あなた達二人に報告があって来たの」
彼女は深呼吸をして、そして隣に立つ彼を見上げながら

「私ね、結婚するんだ」
口元に微笑を湛えながら言った
彼は少なからず驚きながら「そうか・・・、良かったな」と目を細めた

「そうよ、イヴァンなんかよりずーっとイイ男なんだから」
彼は思わず苦笑を漏らす

「ったく、俺の前でそういう事言うかよ、普通」
「あら、だって本当のことだもん」
笑う顔は、まだ昔の面影が残っているのだと思いながら
彼もつられるように口元に笑みを浮かべた     next→