遠くで波の音がした 

「イヴァン、・・・・・・・・・・・・、おい、イヴァンってば・・・・・・・・・・・」

うとうとしている彼の意識の中に、ジャンカルロの声が甘く響く

「おい、イヴァン・・・・・・・・・・・、寝ちまったのか?」

バカ、寝てねえ、起きてる

そう言いたかったのに、彼の口はもごもごと動くだけで言葉にならない

クスリと笑う気配がすぐ近くで、した

何かが彼の唇に触れる
ああ、これは指だと彼は思った
ジャンカルロの指が唇をそっとなぞっている
少しだけ擽ったかったけれど、そのまま好きなようにさせていると
「・・・・・・イヴァン・・・・・、」
不意に指の持ち主が彼の名を愛しそうに呼んだ
吐息が近付く。そしてほんの一瞬だけ唇が触れた
「・・・・・ィシテル・・・・・」
掠れてはいたけれど、その声は彼の耳にとても甘く囁いた

ああ、やはり自分は眠っているのかもしれないと彼は思った
これは夢だ
だって、現実のジャンカルロはこんな風に素直に愛を囁かない
もちろん彼自信も面と向かって言うのは恥ずかしくて、口に出したことはなかったけれど
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