そりゃ、自分だって悪かったと思っている。
でも、つい口が滑ってしまったんだ。仕方がないじゃないか。
それなのに、こんなお仕置き・・・・・・、酷すぎます、桐生さん・・・・・・・・





 
禁句











「ひーーっ!」

年の瀬も押し詰まったある日、寮の自分の部屋の大掃除をしていた時だった。


恋人の桐生を見習い毎日少しずつ片付けるように心掛けているので
そんなに汚れているわけではないけれど
それでも普段はまったくしない窓拭きと、家具の裏に潜む汚れくらいは取り除こうと朝食後すぐに取り掛かった。


まずは予定通り窓拭きを終え一息吐く。
ピカピカに磨き上げた窓から見える空は綺麗に晴れ渡り、冬の柔らかい陽射しが降り注いでいる。
なんとなく部屋の中も明るくなったように感じられて嬉しくなり、
「ようし、次は・・・・」
張り切って部屋の中央にあるベッドへと向かった


金持ちの子息が集まる学園の寮だけあって、部屋の家具は地味ではあるが造りがしっかりしている。
ベッドもまた然り。その重厚さ故動かすのが面倒臭くて大掃除の対象になっていたのだが。
ベッドは足元の方を持ち、「よ・・・っと」小さな掛け声と共に持ち上げて横にずらす。と、

「うっ・・・・」
入学してから今まで手をつけた事がなかったのだから、多分かなり埃が溜まっているだろうと予想していたけれど。
ベッドの下は自分が予想していたよりはるかに凄い状態だった。

「み、見なかったことに・・・・・・・・」
・・・できる訳ないよなぁ、と溜め息を吐きつつベッドボードの裏側を覗くと、

「・・・・あ・・・・」
そこには埃と共に様々な物が落ちていた。それは失くしたと思っていたボールペンだったり、読みかけだった雑誌だったり。

「こんな所にあったのか・・・・」
そう呟きながら埃を払い拾い上げた。

そして。

「うわぁ・・・こんなものまで・・・・」

思わず赤面しながら摘み上げた物はコンドームの空袋。
中身の使用者は言うまでもなく桐生だ。
捨て忘れるなんて桐生らしくないと思いながらベッドの脇にあるゴミ箱に捨てようとして、ふと

『き、きりゅ・・・・・さん・・・・・、も・・・・イかせて・・・・・・』
『もう泣き言を吐くのか?もっと私を楽しませてみろ』

大きく脚を拡げられて、尻の奥の感じる所を巧みな指使いで嬲られ焦らされ散々啼かされた夜を思い出してしまった。
性器の根元を桐生の手がギュッと握り射精を塞き止められた状態で中を描き回され、

『・・・おねがい・・・・・だから・・・・、・手・・・・、はなして・・・』
涙ながらに訴えたのだけれど、『お願いの仕方がなっていない』と意地の悪い口調で言われ責められ続けた。

『イ・・・・かせて・・・ください・・・・・・っああ・・・・、きりゅ・・・・さん・・・・・、おね・・・・がい・・・・』
『小林は私の指でイきたいのか?』
『ちが・・・・っ・・・・ああっ・・・・、きりゅ・・・・・さんので・・・・・』
『私の何が欲しいんだ?』
『きりゅ・・・・・さんの・・・・・おおきいので・・・・・・おれの・・・なか・・・・、かきまわして・・・・・・』
『仕方のない奴だ』

冷たく笑った桐生が素早くゴムを装着し自分の願いどおり滾ったもので中を擦られた途端、精液が勢いよく次から次へと溢れシーツに沁みをつくった。



うわわわわ。
快感で朦朧としていたとはいえ、つい言ってしまった自分の恥ずかしい台詞を思い出し、顔が燃えるように熱くなる。
同時に身体の奥がズクリと疼き始めた。
やばい、と少し慌てる。
思い出しただけで身体が熱くなるなんて。

「桐生さんのせいだ・・・・。まったくもう、エロオヤジなんだから!」

空き袋を眺めつつ恨みがましく言う。そう、自分がこんな淫らな身体になってしまったのは全部桐生のせいなのだ。

生まれかけた熱を振り払うようにようにぶんぶんと頭を横に振り、手に持っていたコンドームの空袋をゴミ箱に投げ入れようとしたその時だった。

「エロオヤジとは誰のことだ?」

背後で声がして慌てて振り返ると、
「っ!?」
そこには腕組みをして自分を見据えている桐生がいたのだ。

「ひーっ!」





「言ってみろ、小林。誰がエロオヤジなんだ?ん?」
「あ、あの・・・・・いや・・・・その・・・・・」

口の端があがり、一瞬笑っているように見える桐生の顔だが、
目が全然笑っていない。
はっきり言ってものすごく怖い。
怖ろしくて口を開くどころか身動きさえとれない自分に向かって
つかつかと歩み寄ってきた桐生に腕を掴まれ、
握っていたコンドームの空き袋が床に落ちる。

「なんだ?これは」

それを桐生が拾い上げた桐生は全てを悟ったような顔をして、

「・・・ふ・・・・、これを見ながら私とのセックスを思い出し興奮していた・・・というところか?」
「そ、そんな・・・、興奮・・・なんて・・・・・」
「違うとでも言うつもりか?こんな物を見つめながら目を潤ませておいて」

ぐいと顎を掴まれて無理矢理上を向かされる。

「自分の淫乱さを棚に上げて私をエロオヤジと呼ぶなど・・・・・」

眼鏡の奥の瞳がキラリと光った。

「許すわけにはいかないな」








「や・・・・・っ、・・・ああっ・・・・ん・・・・・、きりゅ・・・・さん・・・・も・・・・やめて・・・・・ゆるして・・・・くださ・・・・・!」
柔らかな光が差し込む窓に手をついて、桐生に懇願する。


恐怖に固まっている自分の服を手際よく全部剥ぎ取った桐生に
窓際に行くよう命じられたのだ。
高い位置にある自分の部屋を覗ける者はいないと分かっているけれど、
こんな明るい場所で全裸になり後ろを弄られ悶えていると思うと、恥ずかしくて堪らない。



「も・・・・、だめ・・・・・イく・・・・・・」
「まだダメだ」
「やっ・・・・あ・・・・・・っ!」

窓に手を置き、突き出すようにした尻の穴に桐生の指が潜り込み、ぐにぐにと意地悪く内を弄っている。

「あ・・・・・ん・・・・ひぅ・・・・・・やぁ・・・・・っ、いい・・・・・そこ・・・・い・・・く・・・・・」
前立腺を弄る桐生の指に合わせるように腰を動かす。

「淫乱だな」
後で嘲るように笑う気配がするけれど、そんなのに構ってはいられない。
必死で腰を揺する。絶頂までもう少し。でも、

「っああ・・・・、やだ・・・・・っ」
無情にも桐生は動きを止めてしまう。

このように前立腺を嬲られ、もう達するという寸前でいきなり指は感じるポイントから逸らされる。
そんな意地悪な責めをさっきからずっと繰り返し受けていて、おかしくなりそうだった。

「おねがい・・・・です・・・・・っ、・・・、も・・・・・・・・、イかせて・・・・・・」

イきたくてイきたくて堪らず、何度もお願いをしたけれど、桐生は酷薄そうな笑みを浮かべたまま願いを聞き届けてはくない。

「や、・・・やだ・・・・ぁ・・・・・も・・・・・やめ・・・・・」
苦しくてついに泣き出してしまった。
涙を見て、もうお仕置きは十分だと思ったのか、桐生はようやく言葉を発した。

「もう二度と私を怒らせるようなことを言わないと誓うか?」
「ち、ちかい・・・・ます・・・・・、・・・・から・・・おねがい・・・・・イかせて・・・・」
喉の奥でくっと桐生が笑うのが聞こえた。

「おね・・・・がい・・・・・・します・・・・・、も・・・・、二度といいません・・・・だから・・・・おれの、なか・・・・・・、桐生・・・・・さんので・・・・・・い・・・・ぱいにして・・・・・イかせて・・・・・・・」
「・・・・いいだろう」

低く呟いた桐生は指を抜くと、誘うように蠢く尻の穴に大きくなった性器をを宛がった。
いつの間に装着したのか、きちんとゴムがつけられている。
指とは比べ物にならない質量のそれがずぶずぶと侵入し、

「っ!・・・ぁあ・・・・・・っ!お・・・・きい・・・・・・」

自分を狂わせる場所をごりごりと擦る。

「ぁ・・・、ああっ・・・・・・、いい・・・・・んっ・・・はぁ・・・・ん・・・」





本当に

二度と口に出して

『エロオヤジ』なんて言わないと

固く心に誓いながら

綺麗に拭いたばかりの窓に向かって

白濁を噴き上げた。




エロオヤジとかオヤジ臭いとか、とにかく桐生に「オヤジ」は禁句(らしい)です/笑


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