菓子と悪戯













10月のある日曜日。

秋の夜長にはゲームだろって事で、昨夜はかなり遅くまで起きていて、
昼近いっていうのに俺はまだベッドの上でゴロゴロしていた。
とにかく眠い。
もったいねーけど、今日は一日寝倒すか・・・そんなコトを考え眩しい光を遮ろうと布団を被ろうとした時、

「明ぁ、明ぁ〜」

いつもと変わらず元気な声を響かせて階段を上ってくる足音が聞こえてきた。

――― ちっ、誠二かよ・・・、ったく間が悪い奴だな

俺は慌てて掴んでいた布団を頭から被る。

「あっきらー、Trick or treat!」

誠二はノックもせずに俺の部屋に入ってきた。
ったく、間が悪い上に失礼な奴だ。
でもまぁ、そういう俺だって誠二の部屋に入る時にノックなんてものはしたことないけど。
いや、それよりも、Trick or treatってなんだよ!?高校生の男子が一体何キモイ事を言ってんだ?

「あっれ〜?明、もしかしてまだ寝てんの?」

――― そうだ、寝てんだよ。悪ィか。つか、まだ眠いんだ。寝かせろよ。

そのまま無視を決め込む。が、それを誠二が許してくれる筈もなく。
俺の布団を剥がしにかかる誠二に対し、つい取られないように応戦してしまう。

――― ちくしょー。これじゃ目が覚めちまうじゃねえか。俺は眠ィんだよ、いい加減にしろよ!

そう怒鳴ろうとした矢先、ピタッと誠二の動きが止まった。

「ふーん、明起きないつもりなんだ?ま、いいけどさ」

――― ようやく諦めたか。ふっふっふ、勝ったぜ!

布団の中で小さくガッツポーズを決めた瞬間、
ギシリとベッドのスプリングが軋み、俺の上に誠二が圧し掛かってきた。

――― ぐっ、苦しい・・・

ジタバタしてみたけれど、布団ごとがっちり挟み込まれてどうにも身動きが取れない。

――― くっそーっ!どけよ!暑苦しいじゃねーか!

布団の中で手足をバタつかせてもがく。
しかし誠二の力は意外に強く、跳ね除けられない。
それどころか暴れた所為で余計息苦しくなってしまった。


――― くそ、こうなったら少し大人しくして力を蓄え、誠二が油断した所を跳ね除けるしかねえな。

とりあえずもがくのを止める。


ぜーぜーと吐く息は布団の中に篭り熱く不快で。

――― 新鮮な空気が吸いてぇ・・・

そう思いながらチャンスを窺っていた俺に、誠二が話し掛けて来た。

「んで明、どっちがいいの?」

――― は?

どっちがいい?っていきなり何だ?意味が判らん。

俺はようやく口を開いた。

「どっち・・・・って意味分かんねーよ!」
「だからー、お菓子とイタズラどっちがいいかって聞いてんの」
「はぁ?ったく、くだらねー事言ってないで重たいからどけって。起きるからさ」
「別にいいよ、起きなくても」
「へ?・・・」

益々意味が判らなくなる。
こいつ、俺のこと起こしに来たんじゃなかったのかよ??

「お菓子かイタズラかどっちか選んでよ。Trick or treat!」
「ア、アホ!何言ってんだ、お前・・・。つーか菓子なんてここには無えっつーの」
「え?お菓子ないの?」
「ねーよ」
「ふーん・・・。じゃ、いいや。勝手にもらうから♪」

そう言うと誠二は俺の足元に掛かっていた布団をガバッと腰まで引き剥がした。

「うゎ・・・・・」

下半身だけが急に涼しくなる。
そして誠二は俺のパジャマのズボンを、あっという間に下着ごと下げてしまった。
その手際の良さに俺は焦る。

「ななななな何すんだよ!」
「何するってさ、さっきから言ってんじゃん。お菓子貰うってvv」

頭から布団を被ったままの簀巻き状態ながら、どうやら誠二は俺の足の方に頭を向けているのが聞こえて来る声で判る。

「菓子・・・?って!だから無えって言ってんだろが!つーか何でこんな格好させんだよ!」
「だからー、お菓子はないけど下肢はあるじゃん」
「か、かし・・・?かしって・・・!おい、ちょっと待て!下肢って、い、意味が違うだろうがー!」

身体を起こそうにも未だ腕は布団の中で挟みこまれて跳ね除けられず、
誠二の目前で下半身丸出しの格好をしているかと思うと恥ずかしさで身体中が熱くなる。

「いっただきまーす★」

そうこうしているうちに、剥き出しになった分身が誠二の口内に呑みこまれた。

「っぐ・・・!」



ねっとりと包み込まれた口腔は温かくて気持ち良くて。
誠二の口の中で、自分の分身がムクムクと大きくなって行くのがわかった。

ヤベ・・・気持ちイイ・・・かも・・・

ピチャピチャと、恐らくはわざと音を立てて誠二が俺のモノを咥える。
その音が艶かしくて身体中が痺れたみたいになった。


っく・・・、はぁ・・・・も、イく・・・・

あともう少しで熱を吐き出せると思った瞬間、誠二の口がすっと離れた。

「あ・・・・・やだ・・・・・・」

こんな状態で放っておかれるなんて。
みっともないと分かっていてもつい腰を揺らめかせながら情けない声を出してしまう。

「せい・・・・じ・・・・・」

自分で擦ろうと腕を動かそうとしたが、押さえ込まれそれもままならず、暑い布団の中できつく手を握りこむ。
ヒクヒク震えるそこを誠二が凝視しているのが見えなくても分かった。

「誠二……誠二!意地悪しないでイかせて・・・・・くれよ・・・・」

もどかしさに思わず泣きが入る。

「……ごめん」

ふっと、身体から誠二の重みが消え布団が剥がされた。途端に眩しい光に晒され思わず目を瞑る。

「明・・・、顔真っ赤・・・」

当たり前だろ!暑くて、恥ずかしくて、動けなくて、焦らされて・・・
言われなくても自分の顔がかなり火照っている事くらい分かっていた。

「ゴメン」

誠二はもう一度呟いて、また俺の下半身に顔を埋めた。
しかし舌を這わしたのはさっきとは違う場所で。

「明のここヒクヒクしてる…」

尻の狭間に誠二の濡れた舌が這う。

「や、めろよ・・・・」

我ながらか細い頼りないような声が出る。

「何で?」
「何でって・・・・。き、汚いだろ……」
「明のだったら平気だよ」
「ア、アホ・・・・そーいう問題じゃ・・・・・・っ、・・・ぁああっ・・・」

ぬめる舌が内部に入り込み、同時に誠二の指も侵入する。

「ああっ・・・・やだって・・・・・せいじ・・・・っ」
「止めないよ。明がこんなに気持ちよさそうにしてんのに、止めらんないって・・・・」

尻の中を弄られて尚も屹立するものを空いている手でピンと弾かれ、
ビクビクと震えながら透明な液が棹を伝う。
突き入れられた指が中で蠢く。

「っ・・・・・っはぁ・・・・・・ぁあ・・・・」

俺は内部を刺激されて仰け反りながら喘ぐしかなかった。
そしていつの間にか増やされた誠二の指が奥のしこりを擦り上げた途端、

「あああっ・・・・・!」

俺は勢い良く白い液を噴出してしまった。








「…気持ち…良かった??」
「…良くなかったら・・・こんなに出ねーよ・・・」

あれよあれよと言う間に後ろだけでイかされて、恥ずかしいやら情けないやらで、つい怒ったような口調になってしまう。
今は布団に滲みこんだ精液を誠二とタオルで拭いているところ。

「つーかさ、お前もしかしてさっきのTrick or treat!ってやつ」

俺は突然思い立って誠二に詰め寄った。

「菓子かイタズラかって、もし菓子があったらあんな事しなかったのかよ・・・?」

すると誠二は

「ううん、どっちにしても明の下肢はもらってたけどね♪」

しれっと答えやがった。

「ちょっと待て…」

こ、こいつ、確信犯だったのか!

「菓子かイタズラかって、ハロウィンって楽しいよな??」

コイツ絶対何かを穿き違えてる・・・

「もしかして最初から変なコトするつもりで来たのかよ!?」
「うん、当然じゃんvv」

傍にあった枕を掴むと、いち早く危険を察知しドアの方に逃げた誠二に向かって投げつけた。

「で、出てけーっ!」

投げた枕は誠二じゃなくて間一髪で閉まったドアに当たり、ポスンと落ちてしまったけれど。

ドアの隙間から誠二が顔を出し、悪戯っぽく笑ってから階下に下りて行く。

「あっきら〜、お下肢ゴチソウサマ★」

ああ、もう脱力だ・・・。

どうせアイツのことだから、また「Trick or treat!」って言いながら俺の部屋に入って来て、
例え菓子が目の前にあったとしても、子供のように下肢をくれと駄々を捏ねるに違いない。

ま、それが嫌じゃないって思っている自分もいるから困ったものだ。


                                                    fin


タイトルは
『菓子と悪戯』ですけれど、本当は

『下肢を悪戯』 としたかったのは言うまでもありません。


             
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