お仕置き


















昼休みがもう少しで終わるという頃、俺は正臣にトイレに連れ込まれた。
逃げ場の無い狭い個室で後ろから圧し掛かられ、無理矢理下着ごとズボンを脱がされる。

「な、何すんだよ!正臣!」

学校の、しかもいつ誰が気付くかも分からない場所での正臣の行動に、俺は声を荒げた。

「明、そんなデカイ声出したら誰かに気付かれる」
俺とは正反対の落ち着いた声が耳元で聞こえ、
そうだ、もしこんな所を誰かに覗かれでもしたら大騒ぎになるに違いない。
そう思って俺は口を噤んだ。
声を出さない事を肯定と受け取ったのか、正臣は調子に乗って俺の尻を無造作に撫で回し始める。
ともすれば出てしまいそうな淫らな声を俺は手の甲で口を押さえた。

「・・・っ・・・!」

正臣の手がぐっと俺の双璧を押し広げ、普段空気に触れない箇所が露にされる。

「すげ・・・、明、ひくひくしてる・・・」

そんな事をわざわざ言われなくても、自分の後孔が刺激を求め収縮している事くらい分かっていた。
さぞかし正臣の目には誘うように厭らしい尻が映っている事だろう。
正臣の長く熱い指がこれから俺の内を掻き回すのだ。
その快感を思っただけで尻が震え、俺は力を抜いてそれの侵入を待った。
ひやり。

「ひっ・・・!」

正臣が窪みに何か冷たい物を押し当てた。指とは違う感触に思わず息を呑む。

「な・・・に・・・・?」

振り向く間もなくそれはプツリと胎内に押し込められ、指とは違う圧迫感に俺は戦慄いた。

「っ・・・・あ・・・・、正臣・・・・・・・・・何挿れ・・・・・・?」
「ん?何ってローターだよ」

当たり前のように正臣は答えた。

「っ!?や・・・なに考えてんだよ。ぬ、抜けよ!」
「抜けって言われてもな、もう入っちまったし。っていうか、明声デカイ」
「・・・・!」
「それに明、こういうの好きだろ?」
「す、好きじゃねえよ!!」
「だから声デカイって。それとも誰かに気付かれてもいいのか?」
「やだ・・・・・・・・ッ・・・ァああ・・・・・!」

ぐぐっと、正臣の指がローターを奥へと押し上げる。

「やっ・・・・だ・・・・・」
「これで良し・・・と」

ローターを深々と俺の奥に埋め込んだ正臣は、満足そうにそう言いながら俺の尻穴から指を引き抜くと、
奥に挟まる異物感に打ち震えている俺に信じられない言葉を突きつけた。

「明、午後の授業はこのまま受けろよ」

「・・・・ぇ・・・・・?」

俺は耳を疑った。

――― こんな物を尻に挿れたまま授業を受けろって・・・?

冗談じゃない。悪ふざけにも程がある。
怒りに似た感情が沸き起こり、正臣を睨みながら、挿れられたローターを掻き出そうと後ろに手を回した。
しかしその手を正臣に掴まれ、そのまま捻り上げられる。

「・・・っぅ・・・・!」

「勝手に抜くなよ、せっかく挿れたんだからさ」
「は、離せよ・・・」

「振動は弱にしておいてやるよ」
俺の抗議の声など聞かず、正臣は笑いながら手元に握り込んだローターのスイッチを入れた。
ブウゥゥ・・・・と軽いモーター音がして、俺の内でローターが小刻みに揺れ始める。

「ぁああっ・・・・・・や・・・・・あ・・・・・」
「ん、いい声♪でも明、そんなデカイ声出したら周りにバレちゃうよ?」
「っ・・・・ん・・・・・」
「我慢できたら後でもっと気持ち良くしてあげるからさ」
「正・・・・・・臣・・・・・」
「さ、行こうぜ。授業始まっちまう」
「・・・え・・・・・?」

――― ほ、本気・・・か・・・よ・・・・?

ローターの振動は正臣の言う通り小さかったが、絶えず俺の内壁で蠢き刺激を与え続ける。
こんな状態では授業どころか、教室に戻る事さえ困難だ。

なのに正臣は、俺の乱れた制服を手際よく直したかと思うと、砕けそうな腰を抱えてトイレの個室から出てしまった。

「や・・・。正臣、マジで無理だって・・・」
「大丈夫大丈夫」

何が大丈夫なんだか訳が判らない。実際膝が震えて立っているのさえ困難だ。

「や・・・だ・・・、正臣・・・」

泣きそうな、いや、実際半分泣きながらの懇願も正臣は聞き入れてくれはせず、
俺は半ば引き摺られるように無理矢理教室へと歩かされた。







※ ※ ※







教室の手前で正臣がふと立ち止まって俺の顔を覗き込んだ。

「明・・・、そんなエロい顔してると、誰かにバレる」

そう言いながらクスリと笑うと、さっさと教室内に入り自分の席に着いてしまった。

――― エロい顔してるって・・・!誰がそうさせてんだよ!

怒鳴りたいような泣きたいような気持ちで正臣の背中を凝視める。
正臣に言われなくても、自分の状態がどれ位やばいか分かっていた。
内壁を刺激され続け、身体は熱を帯びている。吐く息も熱く目元も潤んでいるだろう。
ペニスもとっくに硬くなっていて、下着に大きな染みを滲ませているに違いない。
もしかしたら既に、その恥ずかしい染みは制服にまで広がっているかもしれない。

俺はさり気なく前を隠しながら、精一杯普通を装って正臣の直ぐ後ろの自分の席に着いた。

ブブブ・・・・
体内からモーター音が聞こえるような気がして気が気じゃない。
正臣の背中に泣きそうな声で話しかける。

「ま・・・さおみ・・・、音・・・聞こえちゃう・・・・」
「聞こえねえって、大丈夫。明がエロい声出さなきゃ誰も気付かねーよ」
「でも・・・!」

再び抗議の声を上げようとした所で教室のドアが開き、担当教師が入って来た。

「我慢できたらもっと気持ちイイ事してやるから」

正臣は小さく言い残し前に向き直った。



教師が黒板に数字の羅列を書きなぐり、皆は下を向き書き写す。
時折何かを説明する教師の声が聞こえたが、授業の内容なんて勿論何も頭に入って来なかった。

むず痒いような疼くような興奮が這い上がって来て内股が震える。
快感を逃がそうと身体を捩れば、咥え込んだローターは更に奥へと移動するようで身動きが取れない。
ともすれば出てしまいそうな淫らな声を押し殺し、俺は時間が過ぎるのをひたすら待ち続けていたのだ。


「・・・・・がた・・」

そんな状況だったから、自分の名を呼ばれても気付かなかったのは無理もないと思う。

「緒方!」

下を向き耐えている俺の横に、いつの間にか教師が立っていた。

「うわっ!」

条件反射で姿勢を正した瞬間、内のローターが前立腺を刺激した。

「・・・・・ひっ!!」

思わず口元を押さえる。
妙な声を発してしまった。が、今ので射精しなかったのは奇跡に近いかもしれないと、変な所で安堵した。


「ん?緒方、どうした。具合でも悪いのか?」
「い、いえ・・・・別に・・・・・何とも・・・・」

様子がおかしいと気付いた教師に尋ねられ、俺は祈るような気持ちで下を向いたまま小さく答えた。

――― た、頼む、俺に構わないでくれ・・・。

それでなくても今は悪目立ちしていて、クラスメイトの視線を一斉に浴びる事になっているのだ。
まさか胎内のローターに気付く奴はいないと思うが、
自分の濡れたような声や、エロい顔を皆に見られているのだと思うと羞恥が広がり身体中が熱くなる。

「そうか?でも随分顔が赤いぞ?熱でもあるんじゃないのか?」

教師の手が俺の額に触れる。

「っう・・」

びくり、と。

自分が思っていた以上に身体が震えた。まるで身体中が性感帯になっているかのようだ。
それだけの刺激で危うく達しそうになるのをぐっと押さえ込んだ。

「緒方、具合が悪いなら保健室に・・・」

「へーい」

お気楽そうに返事をしたのは俺じゃなく、正臣だった。

「んじゃ先生、俺明を保健室に連れて行きまーす。ほら明、立てるか?」

そう言うが早いか、正臣は俺の手首を掴み強引に立たせ、そのまま肩を抱くようにして俺を教室から連れ出した。




正臣は俺の手首を掴んだまま、無言で廊下を歩いた。

「正臣・・・、もう・・・・ダメ・・・・」

歩く度に内壁の異物が擦れ、股間を突き上げるような痺れた刺激が襲う。
もう涙で滲んで前が見えない。
正臣が俺を何処に連れて行くのかなんて知る由もなく、引き摺られるように歩かされた。

ふいに立ち止まった正臣が俺を壁に押し付け、股間に手を這わせる。

「ぁあ・・・っ、やぁ・・・!」

硬く膨らんだペニスを揺らされ思わず切ない声が出た。
思いの外響いた自分の声に驚き息をつめる。
ここは・・・どこだ?
視線を走らせる。
見覚えがある壁の染みが目に映り、ここは正臣と初めて相互オナニーをした屋上に繋がる階段下だと分かった。
いつも静かな場所だが、授業中の今は更に静けさを増している。しかしその分声が響くのだ。

「ッ・・・う・・・・・・・」

手早く俺のズボンを膝までずり下げた正臣が剥き出しになって震えるくびれをなぞり、俺は慌てて口に手を当てた。

俺の我慢などお構い無しに、正臣は口の端を上げて笑いながら緩く擦りあげる。

「勃ってんじゃん。もしかして授業中ずっとこうだった?」

「・・・・・やっ・・・・・!」
「答えろよ、明」


やわやわと中心を揉みしだかれ腰が揺れる。
とても答えられるような状態じゃなかったけれど、こんな時の正臣は意地悪で答えないときっとイかせてもらえない。
それが分かっていたから、身悶えし途切れながらも従順に答えた。


「・・・ずっと・・・勃・・・・て・・・・・・た・・・・・・・
「ふーん、授業中ずっと勃ちっぱなしだったってこと?」
「・・・・・う・・ん・・・・」
緩慢に動く正臣の手がもどかしく、自ら腰を押し付けて揺らす。

そんな俺を見た正臣はくくっと喉の奥で笑い、激しく上下に扱き始めた。

「ぁぁああっ!!」

愉悦で目が眩み達しそうになったその瞬間、正臣は残酷にも俺のペニスの根元をぎゅっと強く締め付ける。

「や!やだ・・・まさ・・おみ・・・・離して・・・・・イかせて・・・・」

吐き出せない苦しさに、思わず泣きが入った。
人気は無いとはいえ、ここは学校内。しかも今は授業中。
そんな事すら思い出す余裕もなく声を上げて正臣に懇願してしまう。

「明・・・、そんなにイきたい?」

もうイきたい。イかせて。
こくこくと頷きながら恥も外聞も捨て『お願い』と口にする。

「イかせてやってもいいけど、でもその前にもう一つ俺の質問に答えろよ」

そう前置きした後、正臣は唇の端を上げて笑った。

「なあ明・・・、さっき先公に触られて感じた?・・・もしかしてイきそうだったとか?」
「っ・・・!」

思わず言葉に詰まった。確かにさっきは達しそうだった。でもそれは全部正臣のせいだ。

「俺以外の男に触られて感じるなんて・・・・・お仕置きだな・・・」

黙り込んだ事を肯定と受け取った正臣はそう呟いて、そり返った俺のペニスの根元を掴みながら、
漏らしたかのように先走りが溢れ出ている先端をグリグリと弄った。

「ひ・・・っぁああ!・・・ゆる・・・して・・・・・」
「しかもそんなエロい顔、クラスの奴らに見せつけるなんて・・・」
「・・・そ、それは・・・・・・正臣が・・・・・・ぁあ・・っ・・・・・・・・・!!」

正臣が玩具なんて挿れるから。
反論の声は声にならないどころか、自分の悲鳴染みた声で遮られた。
突然俺の尻の奥に挿れられ今まで鈍く蠢いていたローターが激しく揺れ出したのだ。

「・・・ッ・・ア・・・・・ッゃ・・・・は・・・・・ぁん・・・・・・」

苦しいほどの快感が俺を襲う。
もはや立っていられる状態はなかったが、正臣に中心を握りこまれているのでしゃがみ込む事もできず、
ただ高い声を出して俺は喘いだ。

「まさ・・・・お・・・・・・いや・・・・・っ・・・・んん・・・・」

踊り場に響く淫らな声、そして前を扱くくちゅくちゅという濡れた音。

「ゆる・・・して・・・・・・まさお・・・・み・・・・・」

最早ここが何処かなんて考えている余裕も、理不尽な事で責められているという事も忘れ正臣に許しを乞う。
顔を上げると涙で霞んだ視線の先に薄笑いを浮かべている正臣が映った。

「明、許してもらいたい?」
「ん・・・も・・・・ゆる・・・して・・・・・・・イかせて・・・」

このままじゃ頭がおかしくなりそうだ。こくこくと頷き懇願する。

「ふぅん・・・。なあ明、このまま手でイく?それとも・・・」
「・・・っまさ・・・おみの・・・で・・・・・・いき・・・・たい・・・・・・・・」
「へぇ・・・俺ので?誘い上手だな、明は。じゃ、このまま挿れるけど、イイ?」
「挿・・・・れて・・・・まさ・・・おみ・・・・」

胎内では未だローターが暴れている。しかし正臣はそれを取り出しもせず、

「ローター挿れたままヤってみたかったんだよな」

薄く笑いながらそのまま自分のペニスを俺の尻にあてがった。
とにかくこの狂おしい熱を吐き出せる事ができるのなら何でも良かった。

「来て・・・・早く・・・・・」

俺は尻を突き出し両手で襞を広げ、正臣の熱を待ち侘びた。









しまった。挿入ナシで終わらせてしまった。



みらくるのーとんTOP