12月3日 朝の妄想




ふと目が覚めて時計の針に目をやると、いつも起きるより随分早い時間だった。
何となく気分が高揚しているのが自分でも分かる。
―――― ウキウキして早く目が覚めてしまったなんて、遠足前の小学生か、俺は。
苦笑しつつ、まだ自分の隣で眠る兄貴の横顔を見る。

今日は12月3日、兄貴の誕生日だ。

この日をずっと楽しみにしていた
ケーキは美味しいと評判の店に予約済みだし、プレゼントとして目を付けていたマフラーも既に購入し、今はクローゼットの奥で静かに出番を待っている。
パーティーは兄貴が仕事から帰って来たら自分が作った手料理と共に始める予定だ。

プレゼント、気に入ってくれるといいな・・・
いや、きっと気に入ってくれるだろう。何しろものすごく頑張って選んだのだ。

料理を食べ、ケーキを食べ、プレゼントを渡す。
『明、ありがとう。凄く嬉しいよ』
似合うか?と少し照れながら深い緑色のマフラーを首に巻いた兄貴が、本当に嬉しそうに自分を抱きしめる。
そして、暫し見つめあった後自然に重なる唇。
最初は啄むように、そしてそれは段々深くなり、お互いの舌が絡み合う。
唾液を啜り合いながら兄貴の手が背中から下に移動する。腰を摩られ尻を揉まれ・・・
「あ・・・にき・・・・・、おれ・・・・」
音を上げるのは自分の方。
「うん、分かってる。もう我慢できないんだよね?ここ、硬くなってる」
股間を太ももで擦り上げられて、堪らず「っ、ああっ・・・・!」口から洩れる濡れた声・・・・・・


って!!!!!
うぎゃああぁぁぁ!

ちょっと待て、俺!
何でこんなエロいこと想像しているんだよ!
ないない、それは無い。
い、いや、絶対・・・・・・ない・・・・・・・・・・・・・・・とは言えないかもしれないけれど、
多分、そんな状況に陥るような・・・・・気もしない訳じゃないけれど・・・・・・
とにかく朝っぱらからする妄想じゃねえよと、焦ってぶんぶん頭を振ると横で兄貴がもぞもぞと動いた。

「あ・・・きら・・・・・・?」
し、しまった!一人でエロい妄想をして一人で焦って仕事で疲れて寝ている兄貴を起こしちまったなんて大失態だ。
「わ、わりぃ、兄貴、起こしちまったか?てか、まだ早いから寝てていいよ」
「そう・・・なのか・・・・・?」
「うん、時間になったら俺が起こしてやるからさ」
「ん・・・・・・」
まだ眠いのだろう、目を閉じながらコクリと小さく頷くその仕草がいつもの格好いい兄貴と違って何だか可愛い・・・
等と思っているうちに、兄貴がすぅすぅと寝息を立て始めた。
寝顔を眺める。睫毛長いよな、綺麗な顔してるよな、モテるだろうな、頭良いし、優しいし。ホント自慢の兄貴だ。
でも兄貴は俺の事が大好きなんだ。
超がつく位、弟馬鹿なんだから。

さてと、この弟馬鹿のために、先にやれることはやっておこうか、掃除とか料理の下ごしらえとか。
そう思い、今度こそ起こさないようにと、そっと布団を抜け出そうと身体を反転させた俺の腰に
暖かい何かが巻き付いた。
「え・・・?」
それは兄貴の腕で。
後ろから抱え込まれ、俺は身動きが取れなくなる。
「・・・さむ・・・・・から・・・・・しょに・・・・ねよ・・・・・」
俺の項の辺りをすりすりと頬ずりをしながら、兄貴が甘い声を出す。
もしかして寝ぼけてんのか?
てか、そんな事言われたら起きられないじゃないか。それに背中も温かいし。
仕方ねえな、もう少しだけこのままいるか・・・・思っていたら、
また兄貴の声が後ろから聞こえた。

「・・・・ったかい・・・・」
ったかい・・・?・・・・・ああ、温かい・・・・か。うん、ホントぬくぬくして気持ちいいよな。
夢現状態なのか、掠れた声で、しかも途切れ途切れだから聞き取りづらいけれど、
甘えた声の兄貴も可愛いと思ってしまう自分も十分兄貴馬鹿かもしれない。

「・・・・あ・・・きら・・・・・・・・・、・・・・・ぜんと・・・・・」
ん?ああ、『プレゼント』か。心配しなくてもちゃんと買ってあるっつーの。

「・・・・ぬ・・・・・・」
ぬ?・・・ぬってなんだ??

「い・・・ぬ・・・・・」
ああ、犬か。って、何で犬???

「・・・・・あ・・・きら・・・・・・・・」
俺が?どうした!?

「・・・・・・・・・いぬに・・・・・・なっ・・・・・・・・て・・」



なぬ?


え??


えええ????


えっと、





い、今なんつった?

















「プレゼント、アキラ、イヌニナッテ」














「プレゼント、明、犬になって」




















数秒おいて、兄貴の言葉を理解した俺は

ひいぃっ!

思わず固まった。

犬になってって何?
ま、まさか誕生日に犬プレイさせろとか?まさか、兄貴はそんな事を望んでいるのかっ!?
いや、そんなことあるわけな・・・・い事もない。何しろ俺の兄貴は自他ともに認める変態だ。
そう思った途端、犬になった自分の姿で頭がいっぱいになる。




―――― 犬に服なんて必要ないだろう?
服は全て剥ぎ取られ、所有の証だと首輪をつけられた俺は、
犬の尻尾型バイブを内に挿れられる。
勿論2足歩行なんて禁止だ。
四つん這いになって歩かされ、命令通りに、お座り・お手・待て・チンチン・伏せを繰り返す。
トイレだって足を高く上げた格好で、させられるに違いない。
ケーキの生クリームを掬った兄貴の指をペロペロ舐め、
クゥ〜ン(美味しい、もっと)とおねだりしたら、今度は生クリームに塗れた兄貴のチンコを舐めまわすように命令される。
甘い、美味しい、と懸命に舐めしゃぶると兄貴のちんこはどんどん大きくなり、
上手くできたらご褒美だと、バイブのスイッチが入れらる。尻の中で暴れる玩具に掻き回されて
「あ…、兄貴・・・・気持ち・・・・いい・・・・っぁああ・・・・・」と喘ぐと
「犬が喋っちゃダメだよ」と頭を撫でながら窘められるだろう。
「そ、そんなの・・・・無理・・・・」と訴えても、「ほら、犬は『ワン』だろ?」きっとし許してくれない。
仕方なく俺は、
「う・・・・・っあ・・・・ゎんっ・・・っ・・・・・、くっ・・・・・・ゎ・・・ぁんん・・・・・・・」身悶えながら快感に浸るのか。
器械に嬲られた身体が射精寸前まで昂ぶると、兄貴の手が俺のちんこの根元をぎゅっと掴み、
「玩具でイくのか?俺のが欲しくない?」
耳元で意地悪に囁かれて俺は堪らず尻を高く掲げ、「ここ掘れワンワン」とばかりに尻たぶを自分で拡げる。
俺の内を犯していた玩具が抜かれ、さっきまで舐め回していた兄貴の甘いチンコが挿入されて・・・・・・




あわわわわわわわわ




ご主人様(兄貴)と犬(俺)の構図がありありと目に浮かび、あまりのエロさに頭がクラクラした。

しかも。

―――― 勃っちまった・・・・・・・

く、くそ、変態め!変態兄貴めっ!

犬プレイ妄想で不覚にも勃起してしまった股間を押さえ、兄貴を罵る。
兄貴が悪い訳じゃない、自分の勝手な妄想がいけないのだと分かっているのだが、
頭には血が上り、下半身に滾る血が集まった今は、変態すぎる兄貴を心の中で責めるばかりだ。

犬プレイなんてありえねぇだろ。冗談じゃない。
ならねぇぞ、俺は犬になんか絶対にならねえからな!
だから、

『明、俺のお願い、きいてくれないのか?誕生日なのに?』

少しだけ寂しそうな顔をされて、思わず情にほだされ、「・・・・・じゃあ・・・・少しだけなら・・・・・」なんて口走らないからな!


兄貴は喜ぶだろうし、犬になること自体は嫌じゃないけれど、恥ずかしくてきっと憤死しする。





って・・・・あれ?



嫌じゃ・・・・・ない・・・・・・・?




あれ・・・・・・?俺今、嫌じゃないって思ったか?



???????????



いや、落ち着け、俺。


どう考えても犬はまずい。
真っ裸でリードに繋がれて夜のお散歩とかさせられたらどうすんだよ!


そう心で叫びつつ、熱く滾った兄貴の腕の中から今度は強引に抜け出し、

まずはこいつをどうにかしなければ・・・・・と、股間を押さえながらトイレに向かった。





しまった、光輝誕だというのに、明の妄想だけで兄貴を全然祝っておらんことに気付いた。
ので、この続きを近々UPできるように頑張るのだ。


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