静かな部屋













今日も
下半身丸出しの格好で机に向かわされている




――――― こんな簡単な問題も解けないの?
――――― ホント、あんたダメだね
――――― ああ、それとも解けないふりしてもっとここを苛めてもらいたいわけ?




嘲りの言葉を吐きながら
問題が解けない俺の後ろを響は弄ぶ

後ろを苛めるのは

どぎつい色をしたローターだったり
アナルバイブだったり
媚薬を絡ませた響の指だったり
それはその時の気分で色々変わるけれど、
今日挿れられているのは

響自身


何度か後ろを貫かれているけれど

でも、

後ろから俺に覆い被さって


――――― もう感じてんの?
――――― いやらしいね、あんた・・・


こんな風に耳元で嘲りの言葉を囁く響と
向かい合って抱き合った事は
未だ無い



響は臆病だ



正面から俺を抱かないのは
俺のこの腕が
自分を抱き返さないのが恐いのだろう
目を見ないのは
先に逸らされるのが嫌だから




本当は優しいくせに
優しくないふりをして俺を苛め
常に自分への言い訳の道を作っている







――――― 何・・・考えてんの?余裕・・・あるね・・・

「っ!い、痛っ・・・」


突然前を強く握られ短く呻くと


――――― 痛い方が好きでしょ?


クスリと笑う響きの揶揄の声が聞こえ、

「な・・・・そんなこと・・・・な・・・・・ぁ・・・・っ」

――――― こんなに感じてるのに?


鈴口に爪を立てられグリグリと抉られる





「っやあ・・・・・!い、いた・・・い・・・・」

――――― いい声・・・。・・・もしかして今までの愛撫ヌルかった?


酷くしてあげるからもっと啼いてよ

息を吹き込むように耳元で囁かれ更に身体が熱くなった
その刹那
俺の中心に絡みついていた響の長い指が根元をきつく押さえた


「ゃあっ・・・・・・・は、はな・・・・・・して・・・・・・・」

――――― ・・・・何で?こうされるのスキでしょ・・・・・・・・?


根元を握る指は緩まないまま
後ろの感じる箇所を響きの熱く滾ったもので執拗に擦られて
出したくても出せない苦しさに全身が震え
出させてくれと
イかせてくれと
善がり狂いながら解放を響に訴えたけれど


――――― 出したい・・・?でも、まだダメだよ


俺の言葉なんか届かない





こんな風に前も後ろも酷く苛められる日は

いつも気を失うように最後は意識を閉じる

今日も多分このまま責められ続け、いつ堕ちたかも分からないように意識を飛ばすのだろう


でも

それほどまでに激しく責められても響を憎むことができないのは、

翌朝気付くと身体が綺麗に拭かれていたり
立ち上がる事ができない俺の為に
温かい食事をベッドの上に運んでくれるからだろうか


残虐な行為と裏腹の行動
素直じゃないこの男の事を、
自分は嫌いではない


だから後ろからこんな酷いやり方じゃなく



もし響が正面から俺を抱いてくれたら
その細い身体に腕を回して
この臆病で素直じゃない寂しがりな奴を

ぎゅっと抱き締めてやるのに




「・・・・びき・・・・、っああ・・・・・ひびき・・・・・・・っ」


狂ったように響の名を呼ぶ


――――― っ・・・!


響が小さく呻く声が聞こえ
握りこまれていた前が緩む


「んああっ・・・・!」





ドロドロに解けた身体が震え激しい絶頂が訪れた
放埓する快感に目が眩み
最奥に注ぎ込まれる響の熱を感じながら

ゆっくりと意識が遠のく








『・・あ・・・・きら・・・』



崩れ落ちた身体を支えるのは響の腕

「・・・びき・・・・・」

一瞬だけ見えた響きの顔は酷く心配そうで










・・・・・・・・ひ・・・・びき・・・・・・・
次は・・・・・・・・・・向かい合って・・・しよう・・・な








声に出したのか、
それとも心の中で思っただけなのか
自分でも分からない










ただ、






―――――  明・・・











意識が完全に堕ちる前に

俺の名を呼ぶ優しい音声は聞こえたような気がしたけれど




甘ぇ。

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