探し物は何ですか




















「明君、ここに置いてあった物、知らないか?」
外出先から帰って来た五井は開口一番リビングのテーブルを指差して俺に尋ねた。
「?いや・・・?俺は知らないけど・・・・・・?」

昨夜は遅くまでゲームをやっていて、起きたのは昼近いこの時間。
腹が減って寝ぼけ眼で自分の部屋から階下に来たばかりで。
朝飯兼昼飯をどうしようかと冷蔵庫の前で考えていた所で五井が部屋に入って来たのだ。
自分は何も知らないし、机の上の物など何処にも移動したりしていないと五井に説明する。


「うーん・・・」

余程大事な物だったのだろうか。
何も置かれていないテーブルを見ながら眉間に皺を寄せて低く唸っている。

「何が置いてあったんだ?」
「ん?あー、いや、別に・・・・・」

難しい顔をしたままチラリと俺を見て、快活な五井には珍しく歯切れ悪く答えた。

「別にって何だよ?大事な物だったのか?」

いつもはスパッと答えるくせに、はぐらかすような事を言うからツっこんで聞いてみたくなる。

「いや、大したモンじゃないから、明君は気にしないでくれ」

いや、だから。
気にするなと言われるとかえって気になるのは人の性だっつーの。
こうなると親切心より興味の方が俄然強くなる。

「言えって。一緒に探してやるからさ」

焦ったような顔でテーブル下を覗き込んでいる五井に声を掛けてみたけれど。

「っかしいな・・・」「別の場所に置いたっけ・・・?」「いや、確かにここに・・・」

ブツブツと呟いている五井に、俺の声は届いていないみたいで。

「もしかして明君が隠した・・・・・・とか・・・・・」

ふいに自分の名前を出され、しかも何故か疑われているような言葉にギョッとする。
へ?俺が隠した・・・?って、えええっ!?

「お、おい、冗談じゃねー!俺は知らねーぞ!俺が来た時は本当に何もなかったっつーの!」

疑わしそうな目でこちらを窺う五井に、違うと言いながらぶんぶんと首を横に振る。

「つ、つーか、のーとんじゃねえの?」

ここに住んでいるのは、俺と五井とのーとんの三人しかいない訳で。五井でもなく俺でもないとすれば、必然的に後はのーとんしかいない。
そして言いながら思い出した。

「そ、そうだ!ぜってーのーとんだ!俺と入れ違いにこの部屋出てったし・・・・」

そうだ、そう!よく思い出せ、自分!とばかりに記憶の糸を手繰り寄せる。
リビングに入る直前に確か『・・・・・んち買って来なくちゃ!コンビニコンビニ・・・・』と喚きながら慌てた様子で部屋を飛び出していったじゃないか。

俺は必死に説明した。疑われちゃ敵わないからな。
五井は、フムフムと俺の話に耳を傾けていたが、ふいにそれを遮り、

「明君。君の言う事を信じていない訳じゃないんだが」

そう前置きした後、

「しかしな〜、のーとんが持って行ったというのは、もしかして君の嘘かもしれないじゃないか」

っ!!?
何言ってんだ?コイツ。

「だから!俺じゃねえって」

怒鳴りながら睨み上げると、五井が何か良からぬ事を企んでいるような目つきだと気付き、その不吉な予感に思わず後退った。

「明君、すまないがちょっと調べさせてくれ」

五井はそう言うが早いか大股で俺に近付いて来た。

「じょ、冗談じゃ・・・」

咄嗟に逃げようとした。しかし五井に腕を掴まれ、あっという間に背後に回り込まれ羽交い絞めにされる。

「お、おい!まさか俺が盗ったとか隠してるとでも思ってんのかよ!?」
「そんな事思っていないさ」
「んじゃ放せよ!・・・・・・っあ・・・・っ!」

暴れる俺を軽々と押さえ込んだ五井の手がいきなり股間を握る。

「や・・・、何すん・・・・だよ・・・・・・・っん・・・・・」

慌てて五井の手を掴んで引き離そうとしたが、そのまま大きな手で揉み出され抗議の声も小さくなった。

「痛っ・・・・・!」

空いている手が服を捲くり上げ胸の突起を抓り、その痛さに思わず顔を顰める。
い、いきなりこんな・・・・どうして・・・・
逃げようとして身体を捩ったけれど。

「そんなにいやらしく腰を動かして・・・・・・」

その動きが五井の手に股間を擦り付けるような動きに映ったのか、卑猥な言葉を耳元で囁かれて顔が熱くなる。
同時に中心を握られたそこが反応を始めたのが判った。
五井の長い指先が布越しに性器を挟み込み、上下に何度も何度も執拗に擦る。

「やぁっ・・・・・・!」

感じ易い先端をカリカリと引っ掻くように嬲られて肌が粟立ち、こんな訳の判らない状態のなのに前を膨らませてしまう。

「こんなに直ぐ硬くして。やっぱり隠しているんだな?」
「そっ・・・・・・・・・・・・・・・いっ・・・」

そんなの知らない。
こんな短い言葉も発せられないほど五井の手に翻弄されている。
感じすぎて朦朧としている間にベルトを抜かれ下着ごとズボンを脱がされた。
「後ろ、見せて・・・」
床に四つん這いにされ、しかも尻を高く突き出した屈辱的な格好をさせられる。
その曝け出した尻穴を五井がジロジロと見る。その視線が痛くて恥ずかしい。
「うーん・・・、ないみたいだなぁ・・・」
「だ・・・から・・・・・知らねえってさっきから・・・・・・ぁあっ!」

今まで舐め回す様に見られていたそこに五井の指触れる。

「奥に入っているかもしれないしな。もう少し調べさせてくれ」

そう言いながら五井は指をズブズブと埋め込んだ。
入り口を拡げるよう回転させ、何かを探るように内を掻き回しながら奥へ奥へと入って行く。そして。

「ん?このコリコリしたのは何だ?」

「やっ!・・・・・そこ・・・・・っ!」

前立腺に辿り着いた五井の指がそこを押し上げた。
「ここが何?もしかしてここに隠してるとか?」
判っているくせに。
五井はそこを捲るようにグチャグチャと掻き回した。ポイントを外さない指に身悶えるしかできない。
先端から粘液が溢れ滴り落ち床を汚す。

「ちが・・・・・っんん・・・・・・や・・・・・ぁ・・・・・」
「嫌そうには見えないな。気持ちイイんだろ?」

苦しいほどの快感が全身を駆け巡る。

「あーあ、ここもこんなにしちまって」

空いた手がまるで涎を垂らしたように透明な汁を滴らせている性器をやんわりと掴む。

「っああ・・・・!」

悲鳴染みた喘ぎ声が口を吐いて出る。

「や・・・・・っ・・・・・はな・・・・して・・・・・・・・んんっ・・・!

前立腺をグチャグチャ捏ねられて、その上前を扱かれたのでは堪ったものではない。
こんな声、自分じゃない。そう思っても、次から次へと溢れる出る善がり声は間違いなく快感に濡れた自分のもので。
手馴れた五井の指に翻弄され、射精感は募る一方。

「ご・・・い・・・・イ・・・・・く・・・・・」
「イっていいぞ。どこにも隠してないみたいだからな」
「んああっ・・・・・!」

俺は射精感に身を任せた。
そして、後ちょっと。本当にもう後僅かな時間で達するという時。


「五井〜〜!抜け駆けは無しだって約束したよね!?」
「!」

けたたましく喚きながらリビングに入って来たのはのーとん。
荒く肩で息を吐き、顔を真っ赤にした怒った形相で俺達を見下ろしている。
いきなりの乱入者に驚いた五井の手が止まり、それに慌てたのは当然の事ながら俺。

「あ・・・・、や・・・だっ・・・」

もう少しで達するというのに、突然動きを止められては堪らない。焦らしプレイだってここまではしないだろ!と、怒り出すより、痺れた下半身が切なく疼く。

「・・・ご・・・・・・・かし・・・・・て・・・・」

性器を握る五井の手に自分の手を重ねて動かすよう促す。それがどれだけ恥ずかしい行為だとしても、この熱を吐き出さなければ頭がどうにかなってしまう。
何でもいいから取り合えず今はイきたい。

「・・・・五井・・・おねが・・・・・い・・・」

絞り出すように声を出し、尻の穴に突っ込まれたままの指にもどかし過ぎる腰を擦り付ける。

「え?あ、ああ、すまない」

ようやく思い出したように五井が前と後ろ、両方の手を動かし始めた。

「ごーいーーーっ!明から手を離せって言ってんじゃん!」

俺の上で、のーとんはまだ喚いている。

馬鹿、ふざけんな!今度止めて見やがれ!五井ものーとんも後でぶん殴ってやる!

そんな俺の気迫(?)が通じたのか、五井は今度こそ手を止めないで、怒っているのーとんに淡々と言い聞かせていた。

「のーとん、男なら判るだろ?このままじゃ明君が可哀相じゃないか。とりあえず最後までだな・・・」
「・・・ん・・・も・・・・ダメ・・・・」
「ぬぬぬ・・・」

切羽詰った俺の状態に気付いたのーとんは苦虫を噛み潰したような顔で自分達を見下ろすしか術はなく。
そののーとんの視線を感じながら、

「イ・・・・く・・・・っああ・・・・っ!」

ガクガクと身体を痙攣させながら俺は白い液を放った。





★ ★ ★ ★ ★





「さてと、説明してもらおうか?」

激しい吐精感にグッタリと床に横たわった俺の頭上で、のーとんが五井を睨み付けながら言う。

「いや、これには深ーい訳が・・・」
「どんな訳さ!?」
「だからだな、ソレが見当たらなくて探していたんだが・・・」

「コレ?コレを探すだけで、何でこんなエロい展開になっちゃってんの!?」
「いや、もしかして明君が隠しているんじゃないかと思って身体検査をだな・・・・」

コレとかソレとか一体何だ?
というか、今の会話からすれば、五井が探していた物を勝手に持って行ったは、やっぱりのーとんか!
そのせいで俺は五井に疑われて身体検査と言う名目で身体の奥まで探されたんだぞ!

五井の視線の先を追い掛け、その先に見えた物は。

な・・・んだ?あれ・・・?



頭上では未だ二人が言い合っている。

「身体検査ねぇ・・・」
「そ、そう。後ろの穴に隠してるかもしれないし・・・」
「明がそんな事する訳ないじゃん!」
「まぁ、それは判っちゃいたんだが、つい楽しくてね」
「ふごっ!」

二人のやり取りを凝視する中、のーとんの拳が五井の頭にめり込む。
が、ちっともダメージを受けているよう見えない。さすが五井。
つーか、そうじゃなくて。
のーとんが手に持っている物って!
ロ、ローター・・・・・?

「・・・ったく!抜け駆けしないって約束したくせに油断も隙もないんだから・・・」
「スマン、スマン」

のーとんがブツブツ文句を言う傍らで、五井は全然悪びれた様子なく謝る。

「でものーとん、お楽しみはこれからじゃないか?お前も買って来たんだろ?」
「・・・まあね・・・」

五井につられるように、のーとんもニヤリと嫌な笑みを浮かべた。

ヤ、ヤバイ。
に、逃げなければ。
捕まったら最後、あの玩具で二人に好きなように責められてしまうに違いない。

「僕が先に明に使うからね」
「まあ、いいだろう」

二人はニヤニヤ笑いながらそんな会話を交わしている。

よ、よくねえぇっ!
心の中で思い切りツッこみながら、
のーとんがポケットから取り出した真新しい電池をローターに嵌め込んでいるのを横目にじりじりと移動した。チラリとリビングのドアと自分の位置を測る。
よ、よし。もう少し、あと少し。このまま気付かれずにテーブルの横まで行けたなら、後は思い切りダッシュして自分の部屋に駆け上がり鍵を掛けて・・・・・・

「どこ行くのさ?明・・・」
「うわっ!?」

しかしそんな思惑も、のーとんの揶揄するような声と、五井の大きい身体に簡単に阻まれてしまった。
いつの間にスイッチを入れたのか、ローターは軽いモーター音を立ててのーとんの手の中で細かく震えている。


「この電池が切れるまで苛めてあげるよ、明♪」
「お?のーとん、いい事言うじゃないか。というか、切れてもまだ沢山買っておいたからいくらでも苛めてあげられるさ」

じょ、冗談じゃねーーーっ!

しかしこの後、冗談などではなく、この二人に好きなように弄ばれたのは、
言うまでもない。






何も言う事はございませんがな(汗)

          のーとんTOP