上等な煙草
高価な酒
そして色とりどりのキャンディーが詰まった袋が
【Ginacarlo・Bourbon del Monte】
と、石に刻まれた名前の下に行儀よく並んでいる
一番端で揺れているのはロザーリアが持ってきた花束だ
『お前は?ん?まさか手ぶらじゃねえよな?』催促するように足元の草が揺れる
ばーか、んなモンねえよと、彼は心の中で答える
死んじまったらそれでオシマイ そう行ったのはテメェだろ
さっさと先に逝きやがって、このバカが

辛辣な言葉だったが、それとは裏腹に彼の表情は酷く優しい

彼は石に刻まれた名前をゆっくりとなぞった
そして、そっと唇を落とし、あの遠い日にジャンカルロが囁いた同じ言葉を口にした

目を閉じると浮かんでくるのは
まるで太陽のような眩しい笑顔と
『・・・・・イヴァン・・・・・おい、イヴァンってば・・・・・』
甘い声

「また来る・・・・・・・・・・」

彼はゆっくりと立ち上がり
思い出を胸に抱きながら帰路についた

                         fin       
next(あとがきという名の言い訳)