その夜ラウンジに行くと、そこには自分以外のメンバーが揃っていて、次々に声を掛けてきた。
『明日叶、あれ?顔色が悪いけど大丈夫かい?』
『あー、ホント。明日叶ちん、真っ青な顔してるよ』
『明日叶先輩、部屋で休んでいた方がいいっスよ?俺送って行くっス』
『にゃんことわんこの言う通りですよ。アンタに今倒れられたら大変ですからねぇ』
『あすか、へやで、ねる。いっぱいねれば、なおる』
『マジで酷ェ面だぜ、明日叶。大丈夫か?』
『・・・・無理、するな・・・』
いかにも具合が悪そうな自分を皆心配してくれている。でもこの中に、昼間自分の淫らな姿を見た『誰か』がいる。
疑心暗鬼
昼間、誰もいない教室に押し込められ、いきなり目を黒い布で覆われた。
「き、桐生さんっ、なにを・・・・っ!?」
視界を無理矢理奪われる。そんな経験は滅多にあるものではない。
『見えない』というだけで酷く不安になり、簡単に後ろを取られ桐生に羽交い絞めにされた。
身体を捩って何とか逃れようとしたが、鍛えている差か体格の差か、あるいは両方なのかそれは叶わなかった。
両腕は後ろで押さえつけられ、もう一方の手で器用に制服のボタンを外す。桐生の手は器用としか言いようがなく。
肌蹴たシャツの間から、桐生の手がするりと入り胸を弄った。
「やっ、・・・・・だ・・・・」
つきんと感じる乳首に焦燥が募り、
「や、めて・・・・下さい・・・・、きりゅ・・・さんっ・・・」
何度も止めるように訴えたけれど。
それは聞き入れてはもらえなかった。
胸を弄られて感じた熱が、下肢にまで伝わる。
「どうした?小林。腰が動いているぞ?」
「や・・・ぁ・・・・ああ・・・・」
桐生の嬲る声に、
誰がいつ入って来るか分からない昼間の教室で、痴態を晒している自分の姿を想像し、羞恥で身体が熱くなった。
むくむくと膨らんだ欲望を桐生は確かめるように何度もなぞり、そして唐突にその指を放した。
「自分で扱いてみろ」
冷ややかな声と共に拘束されていた腕を解かれた。
そんなことできるわけない・・・・心ではそう思っても、桐生の声と手で昂ぶらされた性器は硬く張り詰め、もう抑えることはできない。
スラックスと下着を下にずらし、露になったそれを握る。
「ほう、いつもそうやって両手で慰めるのか?」
性器に手を伸ばすと、途端に恥ずかしい言葉を投げ掛けられる。
こんな姿を晒すのは恥ずかしくて堪らなかったが、射精する事だけしか考えられなくて夢中で手を動かした。
先端から溢れたぬめった液が手を汚し、くちゅくちゅと卑猥な音が静かな教室ないに響く。
「凄いな、次々と溢れて来るじゃないか」
耳朶を咬んだり耳の後を舐めたりと、刺激を送りながら桐生は嘲笑の言葉を吐く。
「や、・・・・言わない・・・で・・・・・」
恥ずかしい事を言われると身体の奥が熱くなり、じわりと先走りが漏れる。
その液を絡めて扱き、射精へと上り詰める途中だった。
いきなり両手首を掴まれ動きを封じられたのだ。そればかりか先ほどと同じようにその腕を背中に回され押さえつけられる。
「やっ、あ・・・どうして・・・・・」
もう少しで達することができたのに。
思わず恨みがましい声が出てしまったのは仕方がないことだったのかもしれない。
昂ぶったままの性器を放置され、苦しくて苦しくて黒い布の下で涙を滲ませる自分の後で、
冷ややかな桐生の声がした。
「おい、いい加減姿を現したらどうだ?」
「え・・・・?」
明らかに自分とは違う誰かに声を掛けたことに驚く。
まさか誰かいるのか!?見られている!?こんな淫らな姿を!
「やぁ!桐生さん、やだ!放して!」
闇雲に手を動かしたが、桐生の拘束は緩まず、それどころか益々強く掴まれただけ。
「覗きが趣味なのか?ふん、そんな所からじゃよく見えないだろう?見たいのなら入って来い」
覗いている『誰か』を誘う声に恐れ戦いた。
「や・・・だ・・・、いやだ・・・・・!」
来ないでくれ・・・・
激しく首を振る。しかし願いも虚しく、静かにドアが開く絶望の音が耳に届いた。
「・・・ふん・・・、お前だったのか・・・」
視界を塞がれていて、誰が入ってきたのかは分からなかったが、
教室に入ってきたのはどうやら桐生の知っている人物だという事が言葉の端から読み取れた。
「どうした?ドアの隙間からじゃよく見えなかっただろう?もっと近くで小林のいやらしい姿を見てやれ」
「や・・・・、こ、こないで・・・・」
桐生に促され動く気配に思わず懇願する。しかし足音は益々近付いて。
「く、くるな・・・・・、やだ・・・・・き、桐生さん・・・・」
つい縋るように桐生の名を呼ぶ。しかし桐生は喉の奥でクッと嗤い、
「さあ、じっくりと見てやれ」
後から腰を突き出すように押し、向かって来る『誰か』の目の前に性器を曝け出す格好をとらせた。
「っやあ・・・・っ」
舐めるような視線と荒い息を近くに感じる。
「みる・・・な・・・・」
「嘘をつくな、小林。見られて嬉しいのだろう?その証拠に萎えるどころか、いやらしい液が溢れてくるじゃないか」
「ああっ!」
桐生に言葉で嬲られるのと同時に乳首を抓られ、思わず悲鳴染みた声を上げると、目の前にいる『誰か』が息を呑む気配がした。
こんな淫らな姿を見られているなんて恥ずかしくて死にそうだ。
「ふっ、見られていると分かって尚更興奮するとは・・・・、本当に淫乱な身体だな」
「やっ、ちがう・・・っ!」
揶揄する声を耳に吹き込まれ首を振って必死に否定したけれど、桐生の言うとおり溢れた粘液が茎を伝い落ちるのが自分でも分かった。
「おい、見ているだけじゃつまらないだろう?お前も小林を感じさせてやれ」
桐生が言い放った途端、『誰か』の動く気配がして、
「ひっ・・・・」
ペニスが温かなもので包まれた。
「や、な・・・に・・・・?・・・・ぁあ・・・・っ、あっ・・・」
初めて体験する快感にあられもなく声を上げる。
「銜えられるのは初めてか?」
快感の渦の中で聞いた桐生の声に、『誰か』が自分のペニスを口に含んだことを知る。
口内は暖かく性器に絡みつき、感じる括れを唇で扱いたり、先端を舌先で擽るように突いたり、そうかと思えばじゅぶじゅぶと音を立てて吸い上げられ、あまりの気持ちよさにがくがくと腰が震える。
「やぁっ、で、でちゃう・・・・」
「早いな」
後ろで桐生がクスリと嗤ったが、そんなことを気にする余裕は、もうなかった。
再び乳首をキュッと抓られ、快感が突き抜ける。同時に、前もきつく吸われて、堪え切れず『誰か』の暖かい口内に精を放った。
『誰か』も分からない人の喉がゴクリと自分の精液を飲み下す音が聞こえその淫靡な音に身体が震えた。
「っ・・・」
『誰か』は搾り取るように先端をきつく吸ってから、チュ・・・と音をさせて性器にキスをした後、
桐生の『満足したなら出て行け』という冷たい言葉に従い、
入ってきた時と同じように、静かにドアを開けて出て行った。
不意に目隠しを外される。
教室には陽が差しこみ眩しい。こんな明るい中で自分がされた行為に改めて恥ずかしさと怒りが沸き上がった。肩越しに振り返り睨み付けても、「悦かっただろう?」口の端を上げる桐生の態度は不遜だ。
「・・・・どうして・・・・こんなに酷いことを・・・・・・・・」
「酷い、とは心外だな。私は快感しか与えなかったつもりだが?」
「っ・・・」
思わず言葉に詰まる。確かに、殴られたり蹴られたり痛い思いをしたわけではない。
しかし心は踏み躙られた。
押さえつけられて快感を引き摺り出され、見られながらの自慰行為。
これは全て自分が望んだことではなかった。
「で、でも!こんなの、おかしいです」
言った途端ギロリと睨まれて体が竦んだが、それでも抗議を続ける。
「そ、それに、他の人にも見られて・・・・・・・俺恥ずかしくて・・・・・・」
そこまでを言葉にしてふと気付き、
「そ、そうだ、・・・・・あ、あの・・・・・・、さっきの人って・・・・・・・・・」
恐る恐る桐生に問う。
「さっき?ああ・・・、小林の精液を美味そうに飲み下していた奴のことか?
知ってどうする?忘れて下さいとでも言いに行くつもりか?ああ、それともまた銜えて下さいとお願いしに行くのか?」
「そ、そんなこと・・・っ」
「お前が知る必要はない」
桐生はそこで一旦言葉を切ってから、何か面白いことを企んだような嗤いを口に浮かべて、
「そうだな、チームグリフの一員だとだけ教えておいてやろう」
意地悪く耳に告げたのだった。
『明日叶、あれ?顔色が悪いけど大丈夫かい?』
『あー、ホント。明日叶ちん、真っ青な顔してるよ』
『明日叶先輩、部屋で休んでいた方がいいっスよ?俺送って行くっス』
『にゃんことわんこの言う通りですよ。アンタに今倒れられたら大変ですからねぇ』
『あすか、へやで、ねる。いっぱいねれば、なおる』
『マジで酷ェ面だぜ、明日叶。大丈夫か?』
『・・・・無理、するな・・・』
誰・・・なんですか、桐生さん・・・
見るからに人が良さそうなチームリーダなのか
饒舌な後輩か
それとも明るい彼なのか
妖しい雰囲気を醸し出している先輩か
言葉少ないあの人なのか
口が上手い詐欺師の男か
それとも無口な幼馴染か
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このままではいけない。
事あるごとに、あの時自分の痴態を見たのは
この人なのか?
コイツなのか?と疑いながら、この先学園生活を送るのは嫌だ。
『教えて下さい・・・・、桐生さん・・・・』
縋るような視線を投げ掛けたけれど、
桐生は口の端を上げて意地悪く嗤っただけだった。
これでおしまいか!?ええ、終わりです〜(^0^)/
教室で桐生さんに辱められているシーン、あの場面、誰かが覗いていればいいのになぁ〜と思いながらプレイしていました(笑)
覗いていたのは私の中で多分あの人!
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